歯周病治療
PERIO
自覚できないまま進んでいく
「歯周病」
歯周病は初期段階だとほとんど違和感を覚えないこと、また定期的な歯科検診を受ける方はまだまだ少ないことから、虫歯以上にトラブルとなるケースが増えています。
放置すればするほど抜歯のリスクは高くなり、セルフケアでは十分な予防・対策が難しいので、ぜひ歯科医院でのメインテナンス習慣をおすすめします。
歯周病になる原因
歯周病の主たる要因は、お口の中の細菌が作り出す歯垢(プラーク)です。歯周病の原因菌は、ネバネバの物質を出しながら集合し、歯にはり付きます。歯磨きですべての歯垢を除去することはできないので、歯間や歯と歯ぐきの間に少しずつ蓄積しますし、唾液に含まれるカルシウムなどと結合して歯石化します。歯石は歯磨きでは落とせず、歯石に新たな歯垢が付着してどんどん成長しますから、放置するほど歯周病が悪化するのです。
そのため、歯科医院で定期的に歯垢や歯石を除去することが重要です。当院では、歯石除去の処置やそれぞれの方に合った歯磨き指導などを行っていますので、まずは状態確認にお越しください。
歯周病の進行
第一段階歯肉炎
文字通り、歯肉にのみ炎症が起こっている状態です。人によってはブラッシングのときに出血することもあります。歯槽骨の吸収は起こっていないので、この段階で来院していただければ治療の負担も最小限で済みます。
第二段階軽度歯周炎
歯と歯茎の間に「歯周ポケット」と呼ばれる深い溝が形成され、歯垢や歯石が蓄積するようになります。結果的に歯槽骨の吸収(破壊)が始まってしまいます。
第三段階中等度歯周炎
歯周ポケットが深くなり、歯の隙間が目立ってくるのが特徴です。歯槽骨の吸収(破壊)が進み、歯根の半分くらいまで骨がなくなるため歯の動揺も強くなります。
第四段階重度歯周炎
歯茎の腫れが強くなり、痛みを伴うことがあります。また歯槽骨が歯を支えきれなくなり、グラつきが強くなることから食事を取るのも困難な状況です。歯の脱落リスクもあります。
歯周病の治療法
歯周基本治療
歯周病治療の基本は、歯垢の除去(プラークコントロール)です。
歯科医院で行うクリーニングメニューや、歯磨き指導などを受けて、歯垢や歯石、お口の中の細菌を減らしていきましょう。
-
01
スケーリング・
ルートプレーニングスケーリングは、お口の中にたまった歯石をスケーラーなどの専用機器を用いて取り除く処置です。また、ルートプレーニングは、スケーリングでは除去できない歯の根に付着した歯石を除去し、歯面を磨き上げて汚れが付きにくい状態を作ります。
-
02
PMTC
PMTCは歯科医療の有資格者が、専用機器を使って行う歯のクリーニングです。セルフケアで落としきれなかった歯垢だけでなく、歯石も除去できますから、歯周病の治療や予防に役立ちます。歯面もきれいになるので、ぜひ定期的にPMTCをご利用ください。
-
03
ブラッシング指導
歯周病治療の基本はプラークコントロールです。当院では、患者さまの状況を踏まえたブラッシング指導を行い、日々のセルフケアをレベルアップできるようにサポートします。
また、必要に応じて生活習慣を見直すためのアドバイスも行います。
歯周内科治療(歯周病菌除去療法)
歯周病は、お口の中の細菌により炎症が起き、骨が溶ける病気です。口腔内の悪玉菌を減らし善玉菌を増やすことで骨の吸収を防止できます。
そこで考え出されたのが、飲み薬(内服薬)と薬液磨きを併用して歯周病の原因菌を取り除くという内科的アプローチによる治療法です。強めの炎症が長めに続いている方や、通常の治療法ではなかなか結果の出ない方におすすめです。
歯周外科と比べ体の負担や苦痛が少なく、歯周病の手術と同程度の治療結果が出る場合もあります。
歯周外科治療
ブラッシングやスケーリングなどの歯周基本治療で対応できないほど歯周病が進行している場合、歯の根まで歯石が潜り込んでいることが一般的です。
歯石の除去ができないと、歯周病の進行を止めたり状況を改善したりすることは難しいですが、スケーリングやルートプレーニングでは歯根の深い部分の歯石を除去しきることは困難です。そのため、歯肉を切開して直接歯根にアクセスできる状態を作り、歯石や感染物質を除去する歯周外科治療も視野に入れます。
フラップ手術
歯周病が進行すると、歯周ポケットが深くなり、歯の根の側に歯石が付着していきます。歯根の深い部分に張り付いた歯石は歯周基本治療では除去できないので、改善する手段としてフラップ手術を行います。
フラップ手術は、麻酔をしたうえで対象部位の歯肉を切開し、歯根が見える状態を作ります。視認しながら歯の根に付着した歯石を徹底的に除去し、縫合すれば手術は完了です(1~2週間後に抜糸を行います)。これによって歯肉の腫れや出血が治まりますし、歯周病からくる口臭も低減することができます。
レーザーを使っての
歯周病治療
当院では、レーザー治療器を使った歯周病治療も行っています。
レーザーを使って歯肉の切開を行うと、細胞や周辺組織に与えるダメージが非常に少ないメリットがあります。また、痛みがほとんどないうえに、治療した部位の治癒が早いなど、メリットが豊富です。さらに、歯周病治療においてはレーザーで膿を出すこともできるので、歯肉に起こっている炎症が比較的早く収まることも大きな利点です。
歯周病は全身の健康と
深く関わっています
歯周病菌の悪影響は、お口の中だけにとどまりません。歯周病が進行すると、歯周組織の血管から全身に細菌が運ばれるようになります。結果として、炎症を引き起こしたり、血栓ができやすくなったりします。実際、歯周病が心臓病、糖尿病、肺炎など、さまざまな全身疾患のリスクを高めるといった研究結果が明らかになっています。
歯周病を悪化させないために
歯周病は発症初期には自覚症状が少ないことを特徴としています。発症初期であれば治療もしやすいのですが、気付かないまま進行するため、症状があらわれてから通院を始めると、治療に期間や費用を多く使うことになります。また、重症化すると歯を支える骨が破壊されて歯を失うことも少なくありません。
これらを踏まえると、症状がなくても定期的に歯科医院で検査を受けることが非常に重要です。